『脱会』 神保タミ子著
『脱会』
神保タミ子著
駿河台出版社/本体1400円/2001年12月発行
クリスチャンとして信仰を持っている普通の主婦が、ふとしたことから統一協会の仕掛けた罠に捕らえられ、魂を蝕まれ、夫に内緒で多額の献金もしてしまう。しかし、表向きはクリスチャンとして振る舞わねばならぬという心の重圧に堪えかねて、ある日、教会での二人きりの当番の折り、その心の苦しさの一端を相手の教会員に打ち明けた。
打ち明けられたのが本書の著者、神保タミ子さんである。さてそれから、神保さんの積極的な救出活動が始まる。
普通、救出活動には、親族・親戚の協力が不可欠である。しかし、諸般の事情から、神保さんは別の方法をとることとし、大学教授の夫君の理解と協力を得て、二人の住むマンションにその主婦を迎え、小岩牧師の指導を受けつつ、見事彼女の救出に成功した。
本書はすべて事実に基づくドキュメンタリーである。その主婦との質疑応答の形をとりながら、統一協会の取り込みの手法を克明に追い、その巧妙さと恐ろしさを明らかにしている。これは本書の特徴と言ってよい。
マンションの自宅での周到な救出手順も細かく述べられている。さらに、その主婦が統一協会から「脱会」した後の、統一協会を相手取っての不当強制献金返還訴訟に至るまで、具体的に紹介されている。
平明達意な文章に綴られたドキュメンタリーであるが、ひとりの悩める人を救うために全身全霊をそそぎ込む、クリスチャンである著者の情熱が、行間に息づいている好著である。
(荻窪栄光教会 矢島一男)
